「最愛のアメリアへ」
僕は馬鹿だ。臆病者だ。こんなことは一年前に言うべきだったのに、怖くてたまらなかった。そして君は明日、午前九時のバスで発ってしまう。このまま君を行かせるわけにはいかない。こんな形では。
君を愛している。僕はただのギターを持った計画性のない男だし、君のお母様が僕のことを時間の無駄だと思っているのも知っている。でも、僕にとって意味があるのは君だけなんだ。
行かないでくれ。頼む。
町の広場のそばにある古い礼拝堂にいる。一晩中待つよ。もし君が、僕の想いの半分でも感じてくれているなら、ただ来てほしい。もし来ないなら……理解するよ。でも、言わずにはいられなかったんだ、ミア。どうしても。
君の、イーサンより」
1965年6月4日。
震える手から紙が落ちた。それは埃っぽいカーペットの上へと舞い降りた――私の全宇宙を爆破したばかりの、小さな白い正方形。
6月4日。私が街を去る前夜。電話を凝視し、鳴ってくれと心の中で懇願し続けて過ごしたあの夜。ついに心が折れ、枕に顔を押しつけて泣きながら、彼は臆病者だ、私なんて彼にとっては何の価値もなかったんだ、母が彼について言っていたことは最初から正しかったんだと自分に言い聞かせた、あの夜。
彼は臆病者などではなかった。彼は手紙を書いていた。彼は待っていたのだ。一晩中。
「彼は待っていた」私は誰もいない部屋で呟いた。
タイムカプセルのような私の寝室の空気が、急に息苦しくなった。五年。私はあの夜の出来事――彼の沈黙――を土台にして、五年の歳月を積み上げてきた。遠く離れたカリフォルニアへ行くという決断。二度と振り返らないという決断。愛せると自分に言い聞かせたマークのような「無難な」男と付き合うという決断。故郷に戻り、シカゴで「無難な」大学院の学位を目指すという決断。
そのすべてが、嘘の上に築かれていたのだ。
床に落ちた手紙を凝視すると、込み上げてきたのは悲しみではなかった。それは冷たく酸のような恐怖で、胃がひっくり返るほど強烈なものだった。
誰が?
手紙が勝手に引き出しに入るはずがない。彼が私の部屋に忍び込めるはずもない。「何一つ触っていないわよ」というお母様の声が頭の中でリフレインした。
階段を降りた記憶はない。足が勝手に動き、慣れ親しんだ軋む通路を運んでいった。ただ、自分が台所の入り口に立ち、黄色く変色した紙切れを武器のように握りしめていたことだけを覚えている。
彼女はそこにいた。1970年代の完璧な家庭婦人の肖像そのものだった。外出着の上に清潔なエプロンを締め、流し台の前に立って、クリスタルの花瓶に薔薇を穏やかに生けている。髪は完璧なヘルメットのように整えられ、真珠のネックレスが午後の光の中で鈍く光っていた。
私の足音に彼女は振り返り、その唇は決まり文句のような微笑みを浮かべる準備をしていた。「アメリア? まるで幽霊でも見たような顔をして」
「たった今、見たところよ」私は言った。声は低くかすれ、自分の耳にも別人のように聞こえた。
私は一歩踏み出し、流し台の横の濡れたグラナイトのカウンターに手紙を叩きつけた。
彼女はそれを見た。一瞬の、永遠のような沈黙の間、剪定ばさみを握っていた彼女の手が空中で止まった. 彼女の完璧な仮面は、ひび割れるどころか、崩壊した。彼女はそれが何であるかを知っていた。瞬時に悟ったのだ。
だが、彼女は私の母だった。市長の妻だった。彼女は岩のように揺るぎなかった。仮面が再び元の位置に収まった。「これは何、アメリア? 何か古いゴミでも見つけたの?」彼女はそれを拾おうと、何気ない動作で手を伸ばした。流し台の下のゴミ箱に放り込むつもりなのだ。
私はその上にパシャリと手を叩きつけた。「これは何?」私は繰り返した. 答えはもう分かっていたが。
彼女はゆっくりとはさみを置いた。常に安定していた彼女の指先が、ほんのわずかに震えていた。「どこで見つけたの?」彼女の声は静かで、鋼のように鋭かった。
「私の机の中よ。五年間ずっとそこにあった。お母様が置いた場所にね」
それは問いかけではなかった。そして彼女も否定しなかった。
彼女はリネンのハンドタオルを取り上げ、細心の注意を払って、意識的に手を拭いた。彼女は私を見ようとしなかった。まるで自分の清潔な家を侵食した蛇でも見るかのように、手紙を見つめていた。「あなたはあの男に執着しすぎていたわ」感情の抜け落ちた平坦な声で彼女は言った。「あの少年。ギターを持って、馬鹿げた夢ばかり見ていたあの子に」
「彼の名前はイーサンよ」
「彼には未来なんてなかったのよ、アメリア。整った顔立ちと空っぽのポケット以外、何一つ持っていなかった。あの子があなたを見る目を見ていたわ。あなたがとろけていくのも見ていた。私たちが築き上げてきたすべてを、あなたが投げ出そうとしているのもね」
彼女はついに私の方を向いた。その瞳に後悔の色はなかった。あるのは、氷のように冷たく揺るぎない、母親としての確信だけだった。「私はあなたに未来を与えたの。大学へ行かせた。この街を出て、何者かになるチャンスを。価値のある人間になるチャンスを。あの子と一緒にいたら、はした金のためにかき鳴らす場末のバーのどこかへ、あなたも一緒に引きずり込まれていたでしょうね」
彼女の言葉は鋭く、平手打ちのようだった。一つひとつが、彼女が捏造した真実だった。
五年。秘密の、恥ずべき病のように抱え続けてきた五年の痛み。誇らしげに『自立』と呼んでいた五年の孤独。愛されていなかったと思い込んでいた少年のために喪に服して過ごした五年。
「お母様は未来なんてくれなかった」私は声を詰まらせた。裏切りの鋭さは、肺を刺すナイフのようだった。「お母様が盗んだのよ」
私は、正直であれと教え、宿題をチェックし、日曜には教会へ連れて行ってくれたこの女性を凝視した。そして、全くの他人を見た。
「盗んだ?」彼女は笑った。短く、鋭く、乾いた笑い声。「いいこと、私はあなたを救ったのよ。一年もすれば、あなたはあの子を嫌いになっていたわ。自分自身のことはもっと嫌いになっていたでしょうね。あなたは、『夢』を怠惰の言い訳にするような男のために、おむつを洗う以上の人生を送るべき人間なのよ」
「お母様に決める権利なんてなかった!」私の声は裏返り、叫びとなって、彼女のキッチンの完璧な静寂を打ち砕いた。「それはお母様の人生じゃない! 私の人生だったのよ!」
「あなたは私の子供だったからよ!」彼女も叫び返した。その声に初めて、剥き出しの本物の情念がこもった。「あなたは私の子供なの! 私は母親なら誰でもすることをしたまでよ。あなたを守ったの」
「守った」私は繰り返した。その言葉は灰のような味がした。「お母様は私に嘘をついた。五年間、毎日私に嘘をつき続けてきたのね」
「私は沈黙を守っただけよ」彼女は言い放った。「あの男の影のない人生という贈り物を、あなたに与えたの」
私は首を振り、ドアの方へと後ずさりした。氷水が血管を流れるような感覚だった。すべてが消え去った。イーサンだけではない。この家も、この女性も。すべてが嘘だったのだ。
私はもう議論しなかった。叫びもしなかった。背を向け、完璧なリビングルームを通り抜け、タイムカプセルのある二階へと階段を駆け上がった。
到着したばかりのオーバーナイトバッグを掴んだ。クローゼットを乱暴に開け、ジーンズと着替えを二着、セーターを放り込んだ。机からは一つだけ、あの手紙を掴んだ。
「アメリア、やめなさい!」玄関のドアに手をかけたとき、階段の下から彼女の声が響いた。彼女は激昂していた。「馬鹿な真似はやめて! 五年も前のことよ! 何も変わりはしないわ!」
私は重厚な真鍮のドアノブに手をかけたまま、足を止めた。家中にレモンとワックスの香りが漂っていた。私は肩越しに彼女を振り返った。「その通りね」彼女と同じくらい冷たく、落ち着いた声で私は言った。「あれは五年前のことだわ」
私はドアを開け、外へと歩き出した。
